クラシックチェアの製作工程
18世紀末期からつづく椅子張り工法で、フランス・ドイツでも最高級品のみの製作方法です。 現代においては高度な技能であり、職人の長い経験が必要とされています。
椅子張りに必要なもの* 画像クリックで拡大表示します。
乾燥させた長藁はすいて、3分の1ほどの量になったシッカリとした部分だけを土手積みに使います。芝草は天気の良い日に天日干し。空気を含ませるように掻き混ぜながら乾燥させるとふっくらしてきます。ファイバーと馬毛は、縄状で輸入されたものを解してクッション材として使用します。詰め物に使われる馬毛は、馬のたてがみや尾の長い毛を縄状にし熱処理加工して撚りのかかったもので、クッション材としては最高級品に使用されます。
塗装
輸入した木部は白木の為、好みの色に塗装していきます。今回は、サンディングシーラー(色:ローズウッド系)、ポリウレタン塗装仕上げです。塗っては拭き取り、ペーパーがけ等の作業を繰り返し丁寧に仕上げていきます。
座
バネを支える力布を格子状に交差させて(網代編み)五分釘で留める。 つづみバネを糸で力布に固定したあと、縦・横・斜めとばね糸で適度な弾力に締めながら固定。 土手積みには、長わらを中に使ってヘッシャンクロス(麻布)で巻きながら束ねて台輪に五分釘で打ちつける。 型崩れしないようにセール糸で締めて土手の完成です。【巻き土手工法】
土手積みが完了し、詰め物でクッション性をよくしていきます。まずはバネ当たりをなくすため、大量の芝草をセール糸で軽く固定。その上にクッション材としてファイバー、馬毛、白綿と重ねます。表面に金巾を張って、詰め物のずれ防止のため土手に沿ってラミ糸で千鳥縫い。下張りまで仕上がりました。
背
先に上張り生地で背裏を仕上げてから、表面の土手造りに取りかかります。土手の詰め物には芝草を使い、ヘッシャンクロス(麻布)で張り丸針で土手差しをしていきます。クッション材には芝草を下地として、その上にファイバー、馬毛、白綿の順にのせ金巾で下張りします。土手に沿って千鳥縫いをして下張り完了です。
肘
土手をつくるため芝草をセール糸で軽く固定しながらのせ、ヘッシャンクロス(麻布)を被せて釘で留める。丸針で土手を差していく。クッション材の馬毛をのせ糸で軽く固定した上に、白綿を被せ金巾で張る。土手に沿って、反り針を使い千鳥縫いして下張りが仕上がりました。
上張り
張り地を裁断し上張り作業に入ります。下張りの表面全体に白綿をのせてから、パーツごとに一枚の布で包むように張っていきます。 縁は、共布を真鍮燻しの鋲留めで仕上げます。最後に、座面裏側から底張りして完成です。
椅子張りの工程で、土台となる“土手造り”が一番難しいところです。
自然素材を使った古典的な技法ですが、高品質高技能の椅子は50年たっても変わらない掛け心地です。
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